消波工(読み)しょうはこう(その他表記)wave dissipator

日本大百科全書(ニッポニカ) 「消波工」の意味・わかりやすい解説

消波工
しょうはこう
wave dissipator

波のエネルギー分散あるいは消失させることを目的とした構造物、もしくはこれら構造物を用いた工法をいう。古くはローマ時代の捨石防波堤にみられるように、堤内の空隙(くうげき)と石材の粗さ・かみ合わせなどにより、波のエネルギーを乱れさせて消失させる原理を応用したもので、現代では、捨石のかわりに波の大きさに応じて種々の重量をもつコンクリート異形ブロックを積み重ね対応させている。異形ブロックの研究は1940年代から始まり、フランスで開発されテトラポッドの商品名で知られる消波ブロックがその最初のもので、その後、多種類のブロックが開発されている。

[堀口孝男]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の消波工の言及

【護岸】より

…河岸や海岸にあたる流れや波浪などの勢いを減殺するため,護岸の基礎の前面に水制を設けたり,コンクリートブロックや捨石を置き,これらの施設と一体となって護岸としての機能をもたせることもある。この場合,河川では護岸水制と呼び,海岸の場合は,波のエネルギーを減殺する目的で護岸の前面に置かれたコンクリートブロックや捨石を消波工と呼ぶ。なお,漁港などで物揚場や係船のための岸壁を護岸として作る場合もある。…

【増殖】より

…また,内湾の狭い湾口を広げるために,湾口を形成している砂州の一部を掘削する場合もある。(9)消波工 浅海に設置された増養殖施設を波浪から守るための工作物で,さらに潜堤式消波工,浮き消波工,防波柵などの区別がある。
[移殖・放流]
 以前にはそこに生息していなかったり,数量の著しく減少した水域に外部から有用生物種の稚仔あるいは成体を導入し,その生育あるいは繁殖をはかることを移殖ないしは放流と呼んでいる。…

※「消波工」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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