液体塩素(読み)えきたいえんそ(その他表記)liquid chlorine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「液体塩素」の意味・わかりやすい解説

液体塩素
えきたいえんそ
liquid chlorine

塩素を液化したもの。塩素は液化しやすい気体で、食塩水電解によって得られる塩素ガス加圧冷却すると、液体塩素が容易に得られる。低圧法(常圧)では、零下45℃、中圧法(約4気圧)では0℃、高圧法(約10気圧)では10~20℃に冷却する。現在では、常圧法で大部分が製造されている。塩素は反応性の高い気体で、ほとんどの金属に作用する。しかし、完全に乾燥した塩素は鉄に作用しないので、液化器、タンクボンベなどは鉄製である。パルプ、紙の漂白、塩化ビニルその他有機および無機薬品の製造や水道の殺菌などに用いられる。

[守永健一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「液体塩素」の解説

液体塩素
エキタイエンソ
liquid chlorine

食塩水の電解で生成した塩素ガス中に含まれる水分を除き,加圧または常圧下で冷却して液化すると得られる.乾燥は冷却脱水と濃硫酸との向流接触により行う.乾燥塩素ガスの液化方式には,高圧水冷式(8~12 atm に加圧し水冷液化),中圧ブライン冷却式(0.5~1 atm で-30~-40 ℃ のブライン冷却液化),常圧フレオン冷却式(常圧のままフレオンの気化熱で-40~-45 ℃ に冷却液化)などがある.現在,すべて常圧法に転換しつつある.パルプ,紙のさらし,化学薬品製造に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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