混く(読み)ヒタタク

デジタル大辞泉 「混く」の意味・読み・例文・類語

ひたた・く【混く】

[動カ下二]
雑然とする。
「人しげく―・けたらむ住まひは」〈須磨
しまりなく乱れている。
「―・けて歩ませ給ふこと、またなきことになむおはしましける」〈栄花・峰の月〉
混同する。
「おろかなる俗家じちを知らず、―・けて坐禅宗といひき」〈正法眼蔵弁道話

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精選版 日本国語大辞典 「混く」の意味・読み・例文・類語

ひたた・く【混】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
    1. 異なったものを混合する。
      1. [初出の実例]「混合也〔訓比多多気(ヒタタケ)〕」(出典:成唯識論述記序釈(797頃))
      2. 「濁有るも濁无きも、経謂を一流に混(ヒタタク)」(出典:将門記承徳三年点(1099))
    2. 別の物を同じと思う。混同する。〔観智院本名義抄(1241)〕
      1. [初出の実例]「禅と教と方便を守ぬるは、ひたたけて同くすべからず」(出典:米沢本沙石集(1283)五末)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
    1. 入りまじる。多くのものが雑然としている。
      1. [初出の実例]「人しげくひたたけたらむすまひは、いと本意なかるべし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
    2. しまりがなく乱れている。きちんとしていない。また、みだりに他人の意見に従う。
      1. [初出の実例]「などてひたたけてさまよひさしいづべきぞ」(出典:紫式部日記(1010頃か)消息文)

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