オーストリアのグルーバーFranz Xaver Gruber(1787―1863)が1818年、モールJosef Mohr(生没年など不詳)の詩に基づいて作曲した賛美歌。キリスト降誕の夜の情景(『新約聖書』「ルカによる福音書」第2章)を歌ったもので、民謡風の単純な旋律と6/8拍子の牧歌的なリズムの親しみやすさによって全世界に広まり、英語のタイトル“Silent Night, Holy Night”によって現在もっとも広く愛唱されているクリスマス・ソングである。なお、作曲者グルーバーは田舎(いなか)町オベンドルフの教会音楽家で、この作品以外にはまったく無名の存在であった。
[三宅幸夫]