改訂新版 世界大百科事典 「清律」の意味・わかりやすい解説
清律 (しんりつ)
Qīng lǜ
中国,清代の基本的刑法典。1646年(順治3)に《清律集解附例》10巻(康熙本では30巻)として成立。明律(みんりつ)をほとんど踏襲したもので,名例,吏,戸,礼,兵,刑,工の7律から構成される点も同じである。1725年(雍正3)に一部改訂し,条例を加えて《清律集解附例》30巻が,1740年(乾隆5)には《清律例》47巻が刊行され,以後も条例部分が時勢に応じて増修された。1910年(宣統2)《清現行刑律》が施行されるまで大筋において変わらなかった。なお明代には律のほかに令があったが,清代にはそれにかわって会典をはじめとする各種の行政法典が制定された。清律は,日本では江戸時代,長崎から各種注釈とともにしばしば輸入されて研究され,明治初期の刑法《新律綱領》《改定律例》の編纂にも影響を与えた。
執筆者:植松 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報