改訂新版 世界大百科事典 「渡良瀬川遊水池」の意味・わかりやすい解説
渡良瀬川遊水池 (わたらせがわゆうすいち)
利根川水系における洪水調節の一環として,渡良瀬川下流域に1918年に造成された遊水池。栃木県栃木市の旧藤岡町にある。当初計画の面積33km2。渡良瀬川のほか,思川,巴波(うずま)川などが集まり,さらに洪水の際は利根川の水が渡良瀬川の流れをふさぐため,洪水が非常に多かった。そこで足尾鉱山の鉱毒問題に悩む谷中(やなか)村を廃村とし,赤麻(あかま)沼,石川沼を含む一大遊水池とした。その後,洪水を調節する機能をもたせ,洪水の際の増水分はすべて越流堤を越えて調節池に入り,渡良瀬川の流量を0とするように計画されている。さらに最近では,調節池内の貯水は農業・工業あるいは上水道用水としても利用されている。調整池の面積15km2,そのうち貯水池の面積4.5km2,貯水量(非洪水期)2640万m3である。
執筆者:中山 正民
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