温室建築(読み)おんしつけんちく(その他表記)greenhouse architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「温室建築」の意味・わかりやすい解説

温室建築
おんしつけんちく
greenhouse architecture

19世紀の産業革命以後,鉄による大架構や全面ガラス張りが可能となり,スチーム暖房の技術が進展したことによって,ヨーロッパ各地に巨大な温室が建設された。これらはおもに建築家ではなく技師によって造られたが,J.パックストンによって水晶宮が博覧会場として建てられるに及び,20世紀建築の原型の一つであることを証明した。巨大な温室建築の背景には 19世紀ヨーロッパにおける熱帯植物愛好,特にヤシ栽培の流行が関与している。ガラスの屋根面には反射によるむだを少くし,光が垂直に差込むようにするため初期から曲面が用いられた。 19世紀に建てられた温室の多くが現存するが,代表的なものにロンドンキューガーデンのヤシ栽培温室パーム・ハウス (D.バートン,R.ターナー設計,1844~48) がある。パックストンがチャッツワースに造った当時最大の温室 (36~40) は,折板屋根で曲面をつくったデザインであったが,取りこわされ,現存しない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む