解析学の立場からは、球面、円柱、円錐(えんすい)、二次曲面、螺線(らせん)面などのように、空間内でその点の座標が二つの実変数u、vの連続関数
として与えられているものが曲面である。曲面はまた、
F(x,y,z)=0 (1)
のように陰関数の形で与えられることもある。あるいは、
z=f(x,y) (2)
の形で与えられることも多い。(1)が(2)のようにどれかの変数について解いた形にできるためには、偏導関数Fx、Fy、Fzのどれかが0でなければよい。このような点は正則点とよばれるが、非正則点においては、曲線の場合の特異点のように、その近くで曲面は複雑な様相を示す。曲面上の1点P(a,b,c)において、Pの近くにとった曲面上の点P1、P2とPの3点によって決まる平面で、P1、P2をPに近づけた極限の平面をPにおける接平面という。その方程式は、
Fx(x-a)+Fy(y-b)+Fz(z-c)=0
あるいは、
z-c=fx(x-a)+fy(y-b)
などで表される。
[竹之内脩]
曲面の面積、すなわち曲面積は、曲面を細かに分割してできる各小部分の面積の総和として与えられる。各小部分の面積は、その中の1点における接平面への正射影の面積で近似して測る。これを表す式は、
あるいは
などの形になる。
[竹之内脩]
トポロジーの立場からいえば、平面、球面、また三角形などは、すべて曲面とよばれる位相空間となる。曲面はまず、平面や無限に長い円柱面などのように無限に伸びるもの、すなわちコンパクトでないものと、球面や円板などのように、コンパクトなものに分けられる(コンパクトは、有界な閉集合のこと)。そしてコンパクトな曲面のうち、円板はその円周が境界となっているし、円板に一つ穴をあけた円環面は内外の円周がその境界となっている。これに反して球面や輪環面(トーラス)は境界のない曲面であり、閉曲面という。
閉曲面としては、まず球面や輪環面や二つの穴あきのビスケット曲面などがある(ハンドルを取り付けた曲面とみられる( )。同様に二つの穴あきのビスケット曲面は、球面に二つのハンドルを取り付けたものである。このようにして球面にn個のハンドルを取り付けた、n個の穴あきの曲面ができる。こうしてできる曲面は可符号閉曲面とよばれる。これに反して、球面に一つの円板の穴をあけ、これにメビウスの帯の境界の円周を貼り付けると、射影平面とよばれる曲面ができる( )。一般に球面にn個の円板の穴をあけて、それぞれにn個のメビウスの帯( )の境界を貼り付けてできる閉曲面を不可符号の閉曲面という。
)。輪環面は、球面に二つの円板の穴をあけ、これに円柱の上下の円周を貼(は)り付けたものである。すなわち球面に一つの任意の閉曲面は、前記のように構成される閉曲面のいずれか一つと同位相であり、貼り付けるハンドルまたはメビウスの帯の個数が異なるものは互いに同位相とはならない(閉曲面の位相幾何の基本定理)。不可符号の閉曲面は、メビウスの帯と同じように、適当な道に沿って小円板を動かすと、1周したあとに円板の向きが逆転するという性質をもっている。また、不可符号の閉曲面はけっして三次元空間へ自分自身と交わることなく入ることはできない。
[野口 廣]
曲面は曲線が空間内を動いたときにできる図形と考えられる。したがって,空間内の曲線とは一つの媒介変数tを用いてx=f(t),y=g(t),z=h(t)と表される座標(x,y,z)をもつ点全体のつくる図形であると定義するのと同様に,曲面とは,二つの媒介変数u,vを用いてx=f(u,v),y=g(u,v),z=h(u,v)と表される座標(x,y,z)をもつ点全体のつくる図形である,と定義する。この定義式からu,vを消去すればF(x,y,z)=0のような方程式が得られ,これは曲面上の点の座標の満たす関係式となる。したがって,曲面とはF(x,y,z)=0を満たす(x,y,z)を座標とする点のつくる図形であるということもできる。例えば,aを正の定数とするとき,x=a cos u cos v,y=a cos u sin v,z=a sin uおよびx2+y2+z2=a2は,原点が中心の半径aの球面で,x=au cos v,y=au sin v,z=uおよびx2+y2=a2z2は原点を頂点とする円錐面である(図1)。a,b,c,dを定数とするとき,ax+by+cz+d=0は平面であるから,上の定義によれば平面も一つの曲面である。通俗には曲面と平面を区別するが,数学では平面を曲面の中に含め,この意味で数学における曲面は通常単に面と呼んでいるものである。F(x,y,z)がx,y,zの多項式のときF(x,y,z)=0で定義される曲面を代数曲面といい,多項式の次数がnのときこの曲面をn次曲面という。一次曲面は平面にほかならない。曲面上のすべての点について,その点の十分近くの点だけを考えれば円の内部の点との間に連続的な1対1対応がつくとき,この曲面を二次元多様体という。とくにコンパクトな二次元多様体を閉曲面という。球面やトーラス(浮輪の表面)は閉曲面で,円の内部や円錐面から頂点を除いた図形は二次元多様体であるが,これらはコンパクトでなく閉曲面ではない。正2n角形において2n個の辺を任意に二つずつ組にし,組になっている辺をはり合わせれば閉曲面が生ずる。例えば,正方形で対辺を同じ向きにはり合わせればトーラスが得られ(図2),正八角形からは穴が二つあいた閉曲面が得られる(図3)。任意の連結な閉曲面はこのようにして得られる閉曲面のどれかに同相となることが知られている。閉曲面の中には,三次元空間では忠実に実現できないものや,表と裏の面を区別できず,その上に一定の向きを指定できないものもある。正方形で1組の対辺を同じ向きに他の組の対辺を反対向きにはり合わせてできるクラインの瓶や,正方形で2組の対辺をともに反対の向きにはり合わせてできる射影平面はこのような例である。
→二次曲面
執筆者:中岡 稔
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