精選版 日本国語大辞典 「湑・釃」の意味・読み・例文・類語
した・む【湑・釃】
[1] 〘他マ五(四)〙
① しずくを垂らす。液をしたたらす。
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一「上をは水を以て三遍洗へ。外辺は更に水を以て淋(シタメ)」
② 漉(こ)して液をしたたらせる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)二「晨旦に井の辺に水を観る。虫無けれは用することを得。一日も命有るときには、即ち羅(みつふるひ)をもて濾(シタム)須し」
③ 残りなくしずくをたらす。また、特に徳利や杯などの酒を、こぼしたり、のんだりしてまったくからにする。
※評判記・色道大鏡(1678)一八「酒をしたむに盞台(さんだい)はありといへども、是をよそに肴台(かうだい)にながし、或は煙器に建(こぼ)す」
※大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉九「冷たくなった徳利の底の酒をしたんで飲んだが」
④ 布などで液体を吸いとる。
※浮世草子・好色一代男(1682)六「我ぬぎ置きし黒茶宇のきる物にて、残らずしたみ、かいやり捨ける」
[2] 〘他マ下二〙
① 残らず吸い取る。
※詩学大成抄(1558‐70頃)三「民百姓をしぼりしため、身のあぶら血をださせて」
② (一)①に同じ。
したみ【湑・釃】
① しずくを垂らすこと。したたり。
※俳諧・毛吹草追加(1647)中「露に影はさすさかづきのしたみ哉」
② 「したみざけ(湑酒)」の略。
※浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)一「中直りにしたみ囉ふてきすほ焼かふ」
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「夫を酒だと思ふのは、矢張釃(シタミ)ばかり飲つけて居るせいだらう」
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