満州実録(読み)まんしゅうじつろく(英語表記)Man-zhou shi-lu; Man-chou shih-lu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「満州実録」の意味・わかりやすい解説

満州実録
まんしゅうじつろく
Man-zhou shi-lu; Man-chou shih-lu

中国,清朝の太祖ヌルハチ (奴児哈赤)一代の実録。編者不明。8巻8冊の写本。成立については諸論があるが,太宗朝に作られた『太祖実録戦図』を基にして乾隆 46 (1781) 年に完成し,北京の上書房,盛京 (瀋陽) 宮殿,熱河 (現承徳帝) の離宮に各1部ずつが存置された。満州語のタイトルは"Manju i yargiyan kooli"で,冒頭で清朝の開国伝説を述べ,以後は嘉靖 38 (1559) 年から天命 11 (1626) 年に及ぶ太祖の事跡を中心に記述する。各ページは3段に分れ,上から満州語,漢語,モンゴル語で記述し,各所に記述に対応する絵画 81図を挿入するという,中国の歴代の実録に比較してきわめて特異な形態である。 1905年に内藤虎次郎が盛京の崇模閣内で発見して紹介して以来,『満文老 檔 (ろうとう) 』と並ぶ清朝初期史の重要な史料として注目された。なお,本書は 38年に今西春秋の手で満文が和訳されている。

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