改訂新版 世界大百科事典 「満文老檔」の意味・わかりやすい解説
満文老檔 (まんぶんろうとう)
Mǎn wén lǎo dàng
1607年(万暦35)にはじまり36年(崇徳1)に至る,清の太祖・太宗2代の事跡を,満州語で,編年体で詳細に記録した文書。内藤湖南が1905年奉天故宮の崇謨閣で発見し学界に紹介した。180巻180冊。〈満文老檔〉とは便宜的呼称で,本当の書名は〈圏点なき文字の檔子〉および〈圏点を置いた文字の檔子〉という。《満文老檔》のもとの文書は《旧満州檔》といわれるもので,もと北京の故宮博物院文献館に保管され,現在は台湾の故宮博物院に保存されている。《旧満州檔》は太祖ヌルハチの側近のエルデニが太祖の日常の業績を書き留め,後人が引き続き記録したもので,全40冊,用紙の大きさはまちまちで各冊の枚数も一様でない。大半が無圏点文字で書かれ,各冊に千字文の順序で冊名がつけられている。《満文老檔》は1775年(乾隆40)ころ《旧満州檔》を適宜わけて編集したもので,有圏点字檔と無圏点字檔との2本があり,2本とも北京の宮中におかれ,別に1本が写され奉天に送られた。《満文老檔》の翻訳は東洋文庫満文老檔研究会により出版されている。
執筆者:河内 良弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報