日本大百科全書(ニッポニカ) 「溶媒抽出法」の意味・わかりやすい解説
溶媒抽出法
ようばいちゅうしゅつほう
solvent extraction
溶媒抽出あるいは単に抽出ともいう。固体または液体に適当な溶媒を加え、その溶媒に可溶性の成分を溶かし出す分離法。水、酸、塩基、アルコール、アセトン、エーテル、石油エーテル、ベンゼン、酢酸エチル、クロロホルム、四塩化炭素、メチルイソブチルケトン(MIBK)、リン酸トリブチル(TBP)などの溶媒が目的に応じて用いられる。また、単に溶解させるのではなく、目的物質を溶解しやすい形に化学変化させながら抽出することもある。ベンジンによる衣類のしみ抜きも溶媒抽出の一種である。
固体からの抽出にはソックスレー抽出器のような器具を用い、溶媒を蒸留しながら連続的に抽出を進めることが多い。液体からの抽出には、その液体とは混和しない液体を抽出剤として、分液漏斗(ろうと)を用い、二液相間の分配平衡によって分離する。この操作を連続的かつ自動的に進める向流(こうりゅう)分配は、複雑な組成の天然物試料から微量成分を分離精製するのに利用される。
[岩本振武]