溺女(読み)できじょ(その他表記)nì nǚ

改訂新版 世界大百科事典 「溺女」の意味・わかりやすい解説

溺女 (できじょ)
nì nǚ

中国でみられた新生殺害水盆などで溺死させ,とくに女児が多かったための呼称。溺女の語は比較的新しく,宋代ごろには薅子(こうし)(まびき),不挙子などと呼ばれた。新生の女児殺害は先秦の《韓非子かんぴし)》から知られ,主として経済的理由によって,為政者,知識人の禁令や論議にもかかわらず,江南を中心に広範に行われた。19世紀以後の西ヨーロッパ人の報告では,2割から4割に達するといわれ,女性の人口比率にも影響している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「溺女」の意味・わかりやすい解説

溺女
できじょ
ni-nu

中国での生児殺害,間引きをさす。女児の殺害を溺女,男児のそれを溺児という。宋代にはこう子 (こうし) ともいった。こうは除草の意。福建その他,中南部地方多くみられ,貧家では男児に比べて将来役に立たないと考えられた女児を溺殺することが多く,男児でも養うあてのない場合は殺害された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の溺女の言及

【中国法】より

…それは同姓から養子を迎えても娘との結婚が禁ぜられ,異姓の男子は養子にすることができぬからである。この慣習は現今までも根強く社会に残り,女児が生まれると間引く(溺女)という弊害の復活する傾向があるといわれる。 女性蔑視の原理は唐律の他のあらゆる分野に認められる。…

※「溺女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

ユーラシア大陸、北アメリカ大陸北部に広く分布し、日本では北海道にエゾヒグマが生息する。成獣は体長2メートル以上、体重300キロにもなり、日本最大の陸生動物として知られる。雑食性で草や木の実、サケ、シ...

ヒグマの用語解説を読む