新生(読み)しんせい

精選版 日本国語大辞典の解説

しん‐せい【新生】

[1] 〘名〙
① 新しく生まれること。生まれたばかり。
※園太暦‐観応二年(1351)七月二七日「将軍今朝可進発之由風聞、而依新生事引明日云々」 〔荘子‐知北遊〕
② 従前の生活とは全く異なった新たな人生を歩み出すこと。生まれ変わった気持で新しい生活にはいること。特にキリスト教では、神の恵みによって聖霊が人の心のうちに働き、罪を知らせ、悔い改めさせ、イエス‐キリストの救いを受けて、その心のうちに変化の起こることをいう。
※三太郎の日記(1914‐18)〈阿部次郎〉一「自覚をしても因果の連鎖は切れない。因果を超越するものは唯『新生』である」
[2]
[一] (原題 La Vita Nuova) 詩文集。ダンテ作。一二九二~三年ごろ成立。美少女ベアトリーチェに思慕を寄せる若きダンテの青春の日々をうたい上げ、魂の憧憬を描く。近代の心理小説の先駆ともされる。ソネット二五編、カンツォーネ五編、バルラータ一編から成る。
[二] 小説。島崎藤村作。大正七~八年(一九一八‐一九)発表。小説家岸本捨吉が、姪節子との不倫な愛に終止符をうつまでの苦悩に満ちた精神的遍歴を描く。作者の自伝的告白小説として話題を集めた。

にい‐ばえ にひ‥【新生】

〘名〙 あらたに生じること。また、そのもの。しんせい。
※清輔集(1177頃)恋「いかにせむにゐはえまさる恋草の繁らぬ程にあふ由もがな」

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デジタル大辞泉の解説

しん‐せい【新生】

[名](スル)
新しく生まれ出ること。「火山活動で新生した島」「新生球団」
生まれ変わった気持ちで新たな人生を歩みだすこと。

しんせい【新生】[書名]

《原題、〈イタリア〉La Vita Nuovaダンテ文集。1293年ごろ成立。美少女ベアトリーチェとの愛と死別とをつづったもの。
島崎藤村小説。大正7~8年(1918~19)発表。妻を失い、四人の子供を抱えた岸本捨吉が、(めい)との不倫な関係を絶つまでの苦悩を描いた自伝的告白小説。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新生
しんせい

島崎藤村長編小説。2巻。前編 1918年,後編 19年発表。作者 40歳のときから7年間の自伝小説。妻を亡くし4人の子をかかえた作家岸本捨吉は,手伝いに来ていた姪の節子を妊娠させる。その不倫の関係を清算するため捨吉はフランスへ逃れるが,帰国後再び節子とよりを戻し,懊悩した捨吉は危機の解決のために事実を小説の形で告白することを決意する。そのため捨吉は兄たちと義絶し,節子は台湾へ去っていく。作者は,この告白を作品の形で発表することにより,精神的危機を脱したといわれる。

新生
しんせい
Vita Nuova

イタリアの詩人ダンテの初期作品。抒情詩散文とを交互に配した詩物語で,1292~93年に執筆。昇天した女性ベアトリーチェに対する愛が主題で,「清新体」の代表作の一つ。

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

新生
しんせい
La vita nuova

イタリアの詩人ダンテの散文まじりの詩
1293年ごろ完成。初恋の女性ベアトリーチェとの恋愛体験をうたったとされるが,同時に,寓意の「愛」をに新しい文学的境地を開いたダンテの詩論の書である。

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世界大百科事典 第2版の解説

しんせい【新生 Vita Nuova】

詩人ダンテの最初の重要な作品。詩と散文の混合形式で,1293年前後に執筆された。散文で叙述された物語の枠組みのなかに31編の詩を収めるが,詩はいずれも1283年から91年にかけて作られた。内訳は短詩28編とカンツォーネ編で,これらの詩編を中央のカンツォーネの前後に振りわけて,10+(10+1)+10=31編という構造をとらせ,三位一体説の数字に基づき(32+1=10),〈愛〉の物語を展開する。ダンテが9歳のときに同じく9歳の少女ベアトリーチェ恋心を抱いたという形をとっているために,古来,現実的で清純な〈愛〉を歌った物語として読まれる傾向があり,とくにロマン主義的解釈とラファエル前派の詩人たちの影響もあって,日本にはこの種の解釈による翻訳と紹介がなされてきた。

しんせい【新生】

第2次世界大戦直後の1945年11月に新生社から発行された月刊総合雑誌。岩淵辰雄馬場恒吾青野季吉,正宗白鳥ら戦時中不遇だった自由主義者が名を連ねた,仮とじ,32ページ,定価1円20銭の創刊号は,たちまち13万部を売りつくした。国民がいかに自由な言論に飢えていたかを如実に物語るできごとだった。いわゆる大家を動員し,創作毎号のせた。しかし,無名青年青山虎之助が主宰する新生社は,敗戦直後に続出した多くの出版社同様長続きせず,《新生》も47年2・3月合併号で挫折,48年1月から復刊号を7冊出して廃刊となった。

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世界大百科事典内の新生の言及

【イタリア文学】より

…しかしながら13世紀後半,ホーエンシュタウフェン家の没落とともに,〈シチリア派〉の宮廷詩人たちも四散して,彼らの詩は北イタリアにひろまり,同じくプロバンスの詩を別個に継承しつつあったボローニャの詩人たちの詩法と影響しあって,トスカナ地方に〈清新体〉の詩を生みだした。 〈清新体〉派の代表的詩人はダンテ・アリギエーリであり,この新しい詩法は《新生》のなかに書きこまれている。すでに〈シチリア派〉はプロバンスの宮廷恋愛詩を取り入れ,〈愛〉についての論議を俗語詩のなかに繰り返した。…

【ダンテ】より

…ダンテは幼少から古典文法と修辞学を修め,長じてブルネット・ラティーニに師事した。《神曲》のなかでダンテの導き手となったウェルギリウスに代表されるように,ラテン諸作家を規範としただけでなく,古代ギリシアの文学的伝統やアラブ世界の思想も取り入れ,他方ではシチリア派やトスカナ派の詩人たちと実作上の詩法を競い,G.カバルカンティとグイニッツェリGuido Guinizzelliの影響を受けて,〈愛〉の詩的概念を転換させ,《新生》を著して清新体派の雄となった。その詩的契機が,1274年のベアトリーチェとの出会いである。…

【対日占領政策】より

…それは出版に顕著に現れた。1945年11月には戦後最初の総合誌《新生》が創刊され,活字に飢えていた人びとの支持をえた。続いて《人民評論》《民主評論》などの雑誌が創刊された。…

※「新生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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