漆治郷(読み)しつじごう

日本歴史地名大系 「漆治郷」の解説

漆治郷
しつじごう

和名抄」所載の郷であるが、同書高山寺本・名博本などでは漆治、東急本・元和古活字本、「出雲国風土記」、天平一五年(七四三)正月八日の造寺所公文(正倉院文書)では漆沼としており、いずれか決めがたい。漆治・漆冶ならばシツジ、漆沼であれば、風土記に志刀沼・薦枕志都沼値とあることからシトヌマであろう。風土記によれば出雲郡八郷の一つで、郡家の東五里余に郷長の家があり、地名は薦枕志都治値(天津枳値可美高日子命のこと、神魂命の子)が鎮座することに由来し、志丑治しつじと称していた。神亀三年(七二六)漆治に改めたとある。天平一一年の出雲国大税賑給歴名帳(正倉院文書)に漆沼郷とみえるほか、漆冶稲置止伊売・漆沼印支・漆部直などの人物が書上げられ、高年者(八〇歳以上)四人・鰥三人・寡三七人・貧窮者一三人など賑給対象となる総数は六〇人で、合計穀二七石四斗が支給されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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