火踊(読み)ひおどり

改訂新版 世界大百科事典 「火踊」の意味・わかりやすい解説

火踊 (ひおどり)

民俗芸能。火をまつる神事や民俗行事に発した芸能で,火祭や松明たいまつ)行事に伴って行われる。火を神聖なものとし,火によって神を迎え,神を送る風習は広く行われており,時期は盆と正月に多い。火踊は愛知や静岡県に多く見られる。静岡県浜松市の旧引佐(いなさ)町渋川字寺野の観音堂では1月3日に,旧同町川名の薬師堂では2月8日(古くは1月8日)に修正会(しゆしようえ)に付随して行われる。〈寺野三日堂ひよんどり〉〈川名八日堂ひよんどり〉と呼ばれるが,これは本祭に先立って,本尊に献火する松明の行事からの名称で,三日堂では数名の青年が松明を大きく上下に打ち振りながら歌い踊る。八日堂では世襲の松明奉献者によって松明が奉献されるが,松明が堂内に入るとき,これを拒む役の裸の青年たちと激しく揉み合う。火踊はこの青年たちが踊る。愛知県新城市竹広の信玄塚では,盆の夜,松明を焚(た)き,村の老若男女が〈火おんどり〉を踊る。また兵庫県洲本市下内膳の火踊は,盆に行われ,松明を振りまわしながら踊る。精霊を送る行事だという。
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