フラン樹脂(読み)フランジュシ

化学辞典 第2版 「フラン樹脂」の解説

フラン樹脂
フランジュシ
furan resin

フルフリルアルコール2-フルアルデヒド(フルフラール)からつくられるフラン環をもつ樹脂の総称.フルアルデヒド樹脂,フルアルデヒド-フェノール樹脂,2-フルアルデヒド-ケトン樹脂,フルフリルアルコール樹脂,フルフリルアルコール-フェノール樹脂などがこのなかに含まれる.フルフリルアルコール単体,あるいはフルフリルアルコールにホルムアルデヒドを添加し酸触媒の存在下で反応させると,フラン環が連結した構造の初期生成物(可溶,可融)が得られる.これに硫酸などを加え加熱すると三次元化した不溶の黒色の樹脂となる.耐薬品性にすぐれているが,酸化能力のある酸(硝酸など)には耐性があまりない.また,硬化後曲げ加工する製品などの塗布には用いることができない.耐薬品性を要求される面の塗料に多く用いられる.金属面に塗布する場合は硬化反応を酸性で行うため,さび止め処理をしておく必要がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フラン樹脂」の意味・わかりやすい解説

フラン樹脂
ふらんじゅし
furan resin

フルフラールまたはフルフリルアルコールから得られる樹脂の総称。フェノールフルフラール樹脂、フルフラールアセトン樹脂、フルフリルアルコール樹脂などをいう。各種配合物は酸触媒を用いて比較的低温で加熱させて中間体をつくり、最終的には高温で加熱硬化させる。耐酸・耐アルカリ性に富んでいるので、樹脂セメントとしてガラス繊維で補強して直接ライニングに使われる。酸・アルカリを用いる反応容器とか貯蔵タンクの内張りライニングである。最近ユリア(尿素)、ホルムアルデヒド、フルフリルアルコールの三成分系の樹脂が鋳造工業鋳型の結合材(シェルモールドshell mold用結合材という)として用いられている。

垣内 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のフラン樹脂の言及

【フルフラール樹脂】より

…フラン樹脂furan resinともいう。耐薬品性,耐熱性にすぐれた熱硬化性樹脂で,おもに耐食用ライニングあるいは樹脂セメントとして目地に用いられる。…

※「フラン樹脂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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