ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無差別戦争観」の意味・わかりやすい解説
無差別戦争観
むさべつせんそうかん
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…日本が黒船の来航によって250年に及んだ鎖国を排して開国に踏み切った19世紀半ばは,この国際法の発展期の最後の時期にあたる。 この時期は,ヨーロッパの先進諸国が資本主義の発達に伴い軍事力を背景として海外に進出していった時代で,戦争を国家目的実現の一手段とみる無差別戦争観が正戦論に代わって支配的になった(戦争)。また,戦争の際に中立国の商業活動を擁護するための中立法規も発達した。…
…そして戦争の正当原因を有する君主が処罰として行う戦争には当時の未熟な戦争法規の適用は必ずしも要請されなかったし,まして中立法規はまだ念頭にはなかった。近代国際法とくに戦時国際法の本格的形成と発展は,17~18世紀における正戦論から無差別戦争観への転換を契機とする。無差別戦争観の下で主権国家間に戦争の正当原因を判定する上位者はなく,戦意の表明による正式の戦争が発生すれば,交戦国間には戦争法規が平等に適用されるものとされた。…
…しかし第1次世界大戦後の国際社会において戦争が禁止・制限されると,戦意の表明を基準とする法上の戦争の概念は意義を失い,戦争それ自体が国際法上の制度から排除されるにいたった。
[無差別戦争観]
近代国際法は戦争の地位に関して,中世の正戦論を克服し無差別戦争観を採った。17世紀前半のグロティウスはなお正戦論を主張しつつ,他方で〈克服しえない無知ignorantia invincibilis〉に基づくときは交戦国双方が正当性を主張しうる場合のあることを認め,18世紀中葉のバッテルは主権国家が平等,独立で相互に裁判官たりえないことから,主権国家間の戦争は外部的効果に関して等しく合法的であるとみなした。…
※「無差別戦争観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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