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正戦論 せいせんろんtheory of just war

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

正戦論
せいせんろん
theory of just war

戦争を正当な戦争と不当な戦争とに区別して,正当な原因をもつ戦争だけを合法と認める理論。中世キリスト教神学者アウグスチヌスイシドロストマス・アクィナスによってキリスト教教義と戦争とを調和させるための理論として展開され,近世初頭の自然法主義国際法学者 F.ビトリア,F.スアレス,A.ゲンチリス,H.グロチウスらによって一層法律的に発展させられた。 18世紀に入り,主権国家の勢力均衡から成るヨーロッパ世界の成立とともに,国家をこえた判定者が存在しないことを理由に,正戦論は観念論として捨去られ,戦争当事国のいずれも正,不正とすることはできないとする無差別戦争観が国際法学において支配的となった。しかし第1次世界大戦以後において戦争を禁止,違法化しようとする企ては,正戦論の一種の復活ともみられる。

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大辞林 第三版の解説

せいせんろん【正戦論】

戦争を正当な原因に基づく戦争と不正な戦争に区別し、前者のみが法的に許されるとする理論。

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世界大百科事典内の正戦論の言及

【国際法】より

…また,国際法の理論も,君主たちにも説得力をもつように,慣行のほかに,ローマ法,神学の理論,自然の摂理,哲人の教えなどが基礎とされ,〈国家間の合意による法〉という視点は未成熟であった。たとえば,戦争法の分野では神学の理論に基づく正戦論が主張され,また,広大な海洋の自然的性質から〈海洋自由の原則〉が主張された。また,領土取得に関しては,ローマ法の考え方を継承する先占の理論が有力であった。…

【戦時国際法】より

… 国際法は,沿革的には中世末期以来まずヨーロッパの騎士道精神やキリスト教の影響の下に,またローマ法や教会法の諸概念を援用しつつ,戦争法規として形成されはじめた。しかし当時のスコラ学に基づく正戦論の下で,最大の関心は戦争の正当原因の探求に向けられていた。そして戦争の正当原因を有する君主が処罰として行う戦争には当時の未熟な戦争法規の適用は必ずしも要請されなかったし,まして中立法規はまだ念頭にはなかった。…

※「正戦論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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