化学辞典 第2版 「熱劣化防止剤」の解説
熱劣化防止剤
ネツレッカボウシザイ
heat stabilizer
高分子を加熱すると,主鎖や側鎖の切断による分子量の低下や,官能基の脱離などが起こり高分子の化学構造が変化する.このような熱による化学構造変化を防止するもの.高分子を加熱すると,揮発物質あるいはモノマーを生じる場合(解重合)と,これらを生じずに鎖長や平均分子量を低下する場合(劣化)とがある.このような解重合,劣化を総称して劣化ということもある.ポリ(塩化ビニル)は150~170 ℃ の加熱により塩化水素を生じ,これが触媒となって分解を促進し,さらに空気中の酸素も酸化分解にあずかる.劣化防止剤としては,鉛塩類,金属セッケン類,有機スズ類などがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報