chloroethene.C2H3Cl(62.50).CH2=CHCl.工業的には,1,2-ジクロロエタンを熱分解(脱塩化水素)してつくられる.この方法の工程は,
(1)エテンと塩素をCuCl2触媒により液相約85 ℃ 以下で反応させ,1,2-ジクロロエタンを合成する,
(2)1,2-ジクロロエタンをアルカリ洗浄および精留後,20~40 atm,約500 ℃ で熱分解し,生じる塩化ビニルを副生塩化水素から分離精製する,
(3)この副生塩化水素は酸素(または空気)とともにさらにエテンと200~300 ℃,常圧ないし加圧下でCuCl2を触媒として反応させ(オキシ塩素化),ふたたび1,2-ジクロロエタンをつくる.
C2H4 + Cl2 → ClCH2CH2Cl(1)
ClCH2CH2Cl → CH2=CHCl + HCl (2)
C2H4 + 2HCl + (1/2)O2 → ClCH2CH2Cl+ H2O (3)
(2)~(3)の繰り返しにより,副生塩化水素は全部利用できる.無色の気体.融点-159.7 ℃,沸点-13.70 ℃.0.9471.ラジカル重合やアニオン重合用の触媒によって容易に重合する.常温で長時間貯蔵する場合にはヒドロキノンなどの重合禁止剤を加える.ポリ(塩化ビニル),塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体などの製造に用いるほか,塩化ビニリデンの原料となる.[CAS 75-01-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
エチレンの一塩素化物で,クロロエチレンともいう。化学式CH2=CHCl。無色の気体,融点-159.7℃,沸点-13.70℃。塩化ビニルは,アセチレンに塩化水素を付加させる方法,あるいはまたエチレンに塩素を付加させて1,2-ジクロロエタンCH2Cl・CH2Clとし,これを熱分解して脱塩化水素させる方法などで,工業的に生産されている。塩化ビニルの塩素は二重結合炭素に結合しているため,化学的に不活性で反応性に乏しい。ラジカル重合触媒などにより容易に重合し高分子化合物を生成する。常温で長時間保存する場合はヒドロキノンなどの重合防止剤を加える。単独重合体であるポリ塩化ビニルや,酢酸ビニルCH2=CHOCOCH3などとの共重合体の製造原料として多量に用いられるほか,塩化ビニリデンの原料にもなる。
→ポリ塩化ビニル
執筆者:中井 武
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[用途]
1981年における日本のエチレン需要は約370万tであり,そのうちの約46%はポリエチレン製造用(高圧法ポリエチレン用が第1位で約28%を占め,さらに低・中圧法ポリエチレンが約18%)である。これに続いて塩化ビニル,アセトアルデヒド,エチレンオキシド,エチレングリコール,スチレンなどが重要な合成化学的用途である(95年のエチレン生産量は約700万t)。エチレンからの主要な誘導体は図1に示すとおりである。…
…炭化水素を塩化水素と酸素または空気を用いて塩素化する反応をいう。炭化水素の塩素化にはふつう塩素が用いられるが,塩化ビニルの製造をはじめとして,炭化水素の塩素化工業の規模が大きくなるにしたがって塩素の不足を生じた。塩素は食塩電解法によって生産されるが,塩素とともに生産される水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)の需要が塩素に比べて少ないので,塩素の生産量が水酸化ナトリウムの需要量によって制約されるからである。…
…そのころ,カーバイドからは肥料用の石灰窒素をつくる程度であったが,20世紀に入るとドイツでは,カーバイドに水を作用させてつくるアセチレンを原料として有機化学工業が発達した。アセトン,酢酸,塩化ビニル,合成ゴムなどが開発され,工業化されていった。 他方アメリカでは,1920年代に入ると石油,天然ガスを原料とする化学工業がスタートした。…
※「塩化ビニル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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