熱変色性(読み)ねつへんしょくせい(その他表記)thermochromism

日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱変色性」の意味・わかりやすい解説

熱変色性
ねつへんしょくせい
thermochromism

物質が温度変化するとき、一定温度において色が変化する現象で、サーモクロミズムともいう。分子構造・分子配向の変化、結晶転移、錯体配位型式の転移などが変色の原因となるときには、色変化は温度変化に対して可逆的であることが多い。結晶水の放出、熱分解などが原因となるときには一般に不可逆的である。

 熱変色性のある無機塩、錯塩などを顔料として有機溶媒に懸濁させた塗料示温塗料(しおんとりょう)あるいはカメレオン塗料とよばれ、温度計による直接測定が困難な機械・構造体の部位、危険物容器、倉庫壁面などの温度測定に使われる。

 温度変化によって分子配向、分子平面性が変化し、それが原因となって微妙な色変化を示す液晶は、室温付近での温度計として使われるほか、装身具装飾としても利用されている。

[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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