改訂新版 世界大百科事典 「爆発地震」の意味・わかりやすい解説
爆発地震 (ばくはつじしん)
explosion earthquake
安山岩質火山は,爆発的噴火を示すが,この噴火に伴って生ずる地震を爆発地震という。一般に人体に感ずることはまれであり,人体で感ずるのは爆発に伴って生ずる爆圧であることが多い。爆発地震を山体に置いた多数の地震計で観測すると,地震波の初動が火口からすべての方向に〈押し〉であることがわかり,これは火道の中で急激な膨張が発生したためと解釈される。爆発地震の震源を求めると,火口直下から1kmくらいにまで分布している。この深さが噴火発生の場所と考えられ,マグマの急激な発泡により爆発地震が発生し,発泡により急激に体積が増加したマグマが急速に火道を上昇して空中に放出されると考えられる。したがって,爆発地震の震源における発生メカニズムを詳しく研究し,また,その波の性質をしらべると,地中に埋められた火薬の爆発の時に観測される地震に似ていることがわかる。浅間山で規模の大きい噴火があると,その爆発地震は200km程度の遠方の地震計にも観測されることがある。
執筆者:下鶴 大輔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報