デジタル大辞泉
「震源」の意味・読み・例文・類語
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震源
しんげん
focus; hypocenter
地震の発生した場所。すなわち,地震波の放射源であり,最初に断層の破壊(→ずれ)が始まった点をさす。震源断層には空間的な広がりがあり,その大きさに対応する領域を震源域という。断層の破壊は破壊開始点から一方向に伝わることが多いため,震源は震源域の中央ではなく,周縁にある場合も多い。震源の真上にある地表の点を震央といい,震源から地震の観測点までの距離を震源距離という。震源距離は,地震学者の大森房吉が提唱した,震源距離(km)を d ,観測点に遅く到着する S波と早く到着する P波の時間差である初期微動継続時間(秒)を t ,P波の速さ(秒速)を Vpkm,S波の速さ(秒速)を Vskm とした場合の大森公式
で求められる。また,上記の
を k に置き換えて d =k t とすることもできる。1918年,大森は k の値 7.42を算出し,d =7.42t とした。なお,三つ以上の観測点の初期微動継続時間(PS時間)がわかれば,震源の位置(深さ)や震央の位置がわかる。震源域は大きな地震ほど大きくなり,放射される地震波の波長も大きくなる。特に海底でのプレート境界地震は巨大地震に発達する可能性が大きく,その震源域の広がりに伴って余震域や津波の波源域も大きくなる。断層の破壊以外,たとえば火山噴火や地下のマグマの移動,岩盤の崩落,核実験などによっても地震波は放射され,そのような地震波の発生源も震源という。また,爆薬等を人為的に用いて地震波を発生させる場合は自然現象と区別して人工震源ということがある。
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震源
しんげん
地震に伴う破壊が開始した場所。したがって震源域の中で最初に地震波が発生した場所である。実体波の到着時刻を各地の地震計で観測することにより震源の位置は推定できる。
[山下輝夫]
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しんげん【震源 hypocenter】
一般には地震が発生した場所の意味で使われるが,専門用語としては,地震の原因である岩石の破壊(断層のずれ動き)の開始点を指す。地震波は震源域すなわち岩石が破壊した領域全体から発生するが,震源は震源域の中で地震波が最初に発生した点である。震源の位置は,その真上の地表の点(震央)の経度λ,緯度φ,および地表からの深さhの3個の数値によって表され,各地の地震計によって測った地震波の到着時刻から算出される。 震源位置の決定には,地球内部における地震波(P波とS波)の速度の分布がわかっていなければならない。
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震源【しんげん】
地震の際,地中でそのエネルギーが発生したところ。一点ではなくある広がりをもつと考えられ,それを考慮に入れるときは震源域という言葉を用いる。発震時には,そこでは岩石の破壊が起こっており,地震のエネルギーは震源から地震波となって放出。
→関連項目震央
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知恵蔵
「震源」の解説
震源
最初に地震波が放出された1点を指す。震央とは震源の真上の地表の点をいう。震源の位置は震央の緯度、経度、震源の深さによって示される。震源は地下の破壊が最初に発生した点であり、実際には破壊の領域は震源から拡大する。破壊が生じた領域全体を震源域という。野島(のじま)断層が動いて発生した兵庫県南部地震の震源は淡路島北端の深さ14kmだったが、震源域は神戸市東方まで広がった。
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震源
真保裕一の長編サスペンス小説。1993年刊行。地震の観測データに絡む国家的陰謀をテーマにしたサスペンス・ミステリー。
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