火口
かこう
地下のマグマが溶岩や火山ガスとして地表に噴出する出口。噴火口ともいう。火口は直径数十~数百メートルが普通で、ハワイのキラウエア火山の山頂カルデラ内にある径1キロメートルのハレマウマウ火口などは最大級である。活火山の火口内には多くの場合いくつかの主活動部(火孔)が存在し、そこでは平生でも赤熱溶岩が露頭していたり、火山ガスが燃えていたりすることがあり、さらに、噴火が始まると、たいてい、そこから噴出物が出てくる。火口内の状況の変化は噴火予知の重要な手掛りの一つであり、とくに、火口の深さの変動は火山活動の長期予測に役だち、本格的な活動期には浅くなるのが普通である。
[諏訪 彰]
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ひ‐ぐち【火口】
〘名〙
※
源平盛衰記(14C前)四「火口
(ヒクチ)といへば燃え広がらん」
③ 点火する口。燃やし口。
※
読本・椿説弓張月(1807‐11)残「拾ひし檄
(ふだ)をとり出して、目ちかく松寿にさし
著つつ、行燈
(あんどん)の火口
(ヒグチ)を推向
(おしむけ)」
④ 噴火口。
ほ‐くち【火口】
〘名〙 火打石と火打金とを打ち合わせて生じた火を移しとるもの。

麻
(いちび)の殻幹を焼いたり、また茅花
(つばな)や
パンヤに焼酎、煙硝を加えて煮たりして製する。ほくそ。
※日蓮遺文‐四条金吾殿御返事(1279)「いかに日蓮いのり申とも、不信ならば、ぬれたるほ
くちに火をうちかくるがごとくなるべし」
か‐こう クヮ‥【火口】
〘名〙 火山体の一部に開いた、溶岩や火山ガスなどの噴出口。噴火口。〔五国対照兵語字書(1881)〕
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知恵蔵「火口」の解説
火口
噴火によって噴出点に造られる窪地で、多くはすり鉢状。底がマグマの通路(火道)に通じている。溶岩がたまり溶岩湖や、水がたまり火口湖になっているものもある。直径は1km以下のものが多い。1つの火山に火口が複数あり、その配列に規則性がみられる場合も多い。直線状の火口列は、地下でマグマの板状の供給路(岩脈)と結ばれている。
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火口
ほくち
tinder
火打石で火をおこすとき,最初に火を燃上がらせるために用いる物。イグチの類,サルノコシカケ類などのキノコのある種の子実体や菌糸の塊をよく乾燥させたものや,アサなどの繊維,ガマの穂などをよく解きほぐしたものが用いられる。
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世界大百科事典内の火口の言及
【クレーター】より
…クレーターとは惑星,衛星の表面にみられるほぼ円形のくぼみを示す地形のことである。これはギリシア語で容器,椀,椀状にくぼんだところなどを意味するkraterに由来する。惑星の地形をあらわす言葉としてこれを使った最初の人はG.ガリレイで,月の表面にみられる多くの丸いくぼみにこの言葉をあてた。 ガリレイ以後,月の表面に大小さまざまのクレーターがあることが明らかになったが,この成因については〈隕石孔〉とする説と〈火山爆発〉とする説の2説の間に長い論争が1960年代の初めまで続いた。…
【カルデラ】より
…原義はスペイン語で大鍋。地下からマグマが上昇する通路(火道)が地表に開口する部分(火口)は縁が崩落してすり鉢状になり,火道の直径より大きいのが普通である。しかし,縁の崩落によって直径2km以上になることはまれであるため,直径2km以上の火山性のくぼ地は他の営力で生じたものと考えられており,このような大型の円形くぼ地を火口と区別してカルデラと呼ぶ。…
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