爪甲剥離症(読み)そうこうはくりしょう(その他表記)Onycholysis

六訂版 家庭医学大全科 「爪甲剥離症」の解説

爪甲剥離症
そうこうはくりしょう
Onycholysis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 爪甲爪床(そうしょう)から離れて浮き上がった状態ですが、爪甲は脱落しません。なお、本項では爪の解剖用語を用いるので、図104を参考にしてください。

原因は何か

 ごくまれに先天性ないし遺伝性の爪甲剥離症もありますが、多くは後天性であり、外因、感染症、薬、あるいは、皮膚疾患や全身疾患などに伴って生じます。

①外因によるもの

 爪と爪床の間にトゲや鉛筆の芯などが入るなどのけが、あるいは、指先の細かい操作を必要とする職業(料理人、理髪・美容師、庭師、タイピストなど)によるものがあります。

 また、マニキュア洗剤、さらには、有機溶剤やガソリンなども原因になります。

②感染症によるもの

 カビ一種であるカンジダ感染によるものがほとんどです。

③薬によるもの

 内服するだけで爪甲剥離症を起こす薬もありますが、多くの場合は薬だけではなく、薬を内服した患者さんの爪甲に日光紫外線が作用することで生じる光爪甲剥離症という状態です。

④皮膚疾患に伴うもの

 乾癬(かんせん)接触皮膚炎多汗症扁平苔癬(へんぺいたいせん)尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)薬疹など。

⑤全身疾患に伴うもの

 甲状腺機能亢進症に伴う爪甲剥離症(プランマーズ・ネイル)が最も有名です。また、それ以外にも甲状腺機能低下症ペラグラ糖尿病鉄欠乏性貧血、さらには、肺疾患(黄色爪(おうしょくそう)症候群肺がんなど)、膠原病(こうげんびょう)強皮症(きょうひしょう)全身性エリテマトーデスなど)、感染症(梅毒(ばいどく)など)などでみられます。

症状の現れ方

 爪甲の先端から始まり根元に向かって徐々に進行して、剥離した爪甲は白色ないし黄色に変化します。

 また、指と爪のすきまにゴミが入り、しばしば部分的に汚い褐色調を呈することもあります。

治療の方法

 患者さんによりその原因はさまざまで特定することは難しいのですが、気になるのなら一度皮膚科専門医を受診してください。

立花 隆夫


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「爪甲剥離症」の解説

そうこうはくりしょう【爪甲剥離症 Onycholysis】

[どんな病気か]
 爪甲(そうこう)(図「爪のしくみ」)が先端で爪床(そうしょう)から剥離(はくり)している状態です。剥離した部分は白く見え、根元にむかって広がっています。多くは、洗剤などの化学物質刺激外傷、カンジダ感染によっておこります。また、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)の症状の1つとしておこることもあります。まれには、全身的な病気や薬剤によることもあります。
[治療]
 カンジダ感染による場合は、抗カンジダ剤を、その他の場合は、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬を外用します。水仕事や洗髪の際は、手袋をするのがよいでしょう。全身性の病気や薬剤による場合には、それぞれに応じた治療を行ないます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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