牧草収穫機(読み)ぼくそうしゅうかくき

改訂新版 世界大百科事典 「牧草収穫機」の意味・わかりやすい解説

牧草収穫機 (ぼくそうしゅうかくき)

牧草を刈り取る機械。多くの種類があるが,大別すると牧草を干し草として調製するためのものと,サイレージ調製を目的とするものがある。牧草収穫機は古くから使われており,1800年代の後半より,それまでの大鎌などによる人力収穫に代わって,畜力モーアを使った牧草刈取りが行われるようになった。これについで,モーアで刈り倒され地面に放置された牧草の乾燥を促進するため牧草反転を行うヘーテッダー,乾草収納のため列状に集草するヘーレーキ,地干しされた牧草を拾い上げて運搬車に積み込むヘーローダーが発達した。干し草はかさばり,取り扱いにくいため,圧縮して梱包(こんぽう)するヘーベーラーも使われるようになった。1900年代になるとトラクターの発達が著しく,それまでの畜力に代わり,トラクターの動力によってこれらの作業機を作動させて収穫する作業が行われるようになったため,能率は著しく向上した。最近では,新しい方式のフォレージハーベスターforage harvesterが急速に発展し,広く利用されている。フォレージハーベスターは,青刈飼料やサイレージ用の牧草を刈り取ると同時に,細断して運搬車に積み込む機械である。本機はトラクターにより牽引(けんいん)され,その構造は簡単で故障も少ない。トラクターの動力取出軸(PTO軸という)により駆動される水平なローター軸のまわりに,自由に振れるように取り付けられたフレール刃は,40~50m/sの速度で高速回転して前進し,牧草をたたき切るとともに跳ね上げる。細断された牧草は,フレール刃の回転によって起こった風により搬送筒中を吹き上げられ,フォレージワゴンなどの運搬車に積み込まれる。フォレージハーベスターの作業能率は,刈幅1.5mのもので毎時0.4~0.5haである。
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世界大百科事典(旧版)内の牧草収穫機の言及

【ヘーレーキ】より

…刈り倒されて草地面に散在する乾燥した牧草類を集める牧草収穫機の一種で,集草形式によりダンプレーキとサイドレーキに分類される。ダンプレーキは主として畜力牽引(けんいん)用であり,その構造は機体,車輪および集草部からなっている。…

※「牧草収穫機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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