物物(読み)ものものしい

精選版 日本国語大辞典 「物物」の意味・読み・例文・類語

ものもの‐し・い【物物】

〘形口〙 ものものし 〘形シク〙
① おごそかである。堂々としている。立派である。
※宇津保(970‐999頃)蔵開下「宮は、〈略〉ものものしき顔してゐ給へり」
② 大げさで気にくわない。ぎょうぎょうしい。こしゃくである。
謡曲夜討曾我(1480頃)「あらものものしやおのれらよ、先に手並みは知るらんものをと、太刀取り直し立ったる気色、誉めぬ人こそなかりけれ」
物事への対応が大げさでおもおもしい。
明暗(1916)〈夏目漱石〉一八三「其敷物は、品柄から云っても、また来客を待ち受ける準備としても、物々(モノモノ)しいものであった」
[語誌](1)類義語「ことごとし」との差異については、「ことごとし」が美的でない、好ましくないものを指すことが多いのに対し、「ものものし」は、美的な、良いものを指す。
(2)①の意で中世期に、武士が強そうに武装したさまをいうようになると、それを見て大げさだと感じるところから②の意が生じたと思われる。
ものものし‐げ
〘形動〙
ものものし‐さ
〘名〙

もの‐もの【物物】

〘名〙
それぞれのもの。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「修むる所の善業、物々(モノモノ)美麗にして薬師菩薩の影向に足れり」
② それぞれ、ものには適不適があること。
※雑俳・卯の花かつら(1711)「ものもので・馬に黒木は見とむ無い」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「物物」の読み・字形・画数・意味

【物物】ぶつぶつ

それぞれの物。〔左伝、昭二十九年〕夫(そ)れ物は物ごとに其の官り、官ごとに其の方を修む。夕之れを思ひ、一日を失へば、則ち死之れにび、官を失ふものは(は)まず。

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