一日(読み)ヒトヒ

デジタル大辞泉 「一日」の意味・読み・例文・類語

ひと‐ひ【一日】

いちにち。また、いちにちじゅう。終日。「一日野辺に遊ぶ」「一日読書にふける」
ある日。先日。
「―の御返り、いかで給はらむ」〈かげろふ・中〉
ついたち。朔日さくじつ
「けふは卯月うづきの―かは」〈今昔・二八・一二〉
[類語](1一日中丸一日一昼夜日一日ひいちにち二六時中四六時中全日ぜんじつ終日しゅうじつ通日尽日日がな一日日暮らしひもすがらひねもす/(2)ある日・一日いちにち某日

いち‐にち【一日】

午前零時から午後12時までの24時間。一昼夜。また、ある時刻から24時間後までの場合にもいう。いちじつ。
朝から日暮れまで。ひとひ。終日。「充実した一日を送る」
月の第1日。ついたち。
ある日。いちじつ。「一日花の山を訪れる」
わずかの日時のたとえ。「ローマ一日にしてならず」
[補説]作品名別項。→一日
[類語]ある日・某日一日ひとひ

いちにち【一日】[書名]

《原題、〈イタリアIl Giorno》イタリアの詩人、パリーニによる4部構成の風刺詩。1763年から1801年にかけて「」「」「」「」を刊行(うち「夕」「晩」は未完で、著者没後の刊行)。

いち‐じつ【一日】

月の第1日。ついたち。「七月一日
一つの日数。いちにち。
「彼は―も早く父に逢って話をしたかった」〈漱石それから
ある日。いちにち。「秋の一日、古都を歩く」

つい‐たち【一日/朔日/×朔】

《「つきた(月立)ち」の音変化》
月の第1日。いちじつ。いちにち。
陰暦で、月の初めごろの日々。上旬。初旬。
十二月しはすの―五日と定めたるほどは」〈落窪・二〉

いっ‐ぴ【一日】

月の第1日。ついたち。いちにち。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一日」の意味・読み・例文・類語

いち‐にち【一日】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 午前零時から午後一二時までの間。古くは、ある日の一時点から次の日のその時点までの間をさすこともあり、また、朝から翌朝までの間をさすこともある。いちじつ。
    1. [初出の実例]「三日斎為中祀。一日斎為小祀」(出典:令義解(718)神祇)
    2. 「馬より落て悶絶して死入ぬ、一日を経て活(よみがへり)て」(出典:今昔物語集(1120頃か)六)
  3. 朝から日暮れまでの間。日の出ている間。また、起床から就寝までの間。ひとひ。ひねもす。終日。→一日一夜
    1. [初出の実例]「凡国忌者、治部省預録其日并省玄蕃応行事官人名官。前一日少納言奏聞」(出典:延喜式(927)一一)
    2. 「昨日は終日(イチニチ)畠耕(はたけうな)ひをして居たが」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一〇)
  4. ほんの短い日時のたとえ。わずかの日時。しばらくの間。短時日。「ローマは一日にして成らず」
    1. [初出の実例]「一日の命、万金よりも重し」(出典:徒然草(1331頃)九三)
    2. [その他の文献]〔春秋公羊伝‐文公九年〕
  5. ある日。また、いつぞや。先日。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  6. 月の最初の日。いちじつ。ついたち。

いち‐じつ【一日】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「いち」は「一」の呉音、「じつ」は「日」の漢音 ) =いちにち(一日)
    1. [初出の実例]「有能一日(イチジツ)其力於仁」(出典:文明本節用集(室町中))
    2. 「見世をはなれず、一日(ジツ)筆を握(にぎ)り」(出典:浮世草子日本永代蔵(1688)二)

一日の補助注記

現代では「一日(イチジツ)の長」「一日(イチジツ)千秋」のような固定した表現に用いられる程度で、使用範囲は狭い。


ひと‐ひ【一日】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ひとい」の時代も )
  2. 日の数一つ。いちにち。また、いちにちの間。一日中。終日。日一日。
    1. [初出の実例]「妹が袖別れて久になりぬれど比登比(ヒトヒ)も妹を忘れて思へや」(出典:万葉集(8C後)一五・三六〇四)
  3. 暦の月の初めの日。ついたち。朔日
    1. [初出の実例]「空をそふ乙女の衣ひとひよりあまの川波立ちぞ寄るらし」(出典:曾丹集(11C初か))
  4. 過去のある一日。ある日。某日。先日。
    1. [初出の実例]「ひと日の風はいかに」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)

いち‐んち【一日】

  1. 〘 名詞 〙 「いちにち(一日)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「旦那に透を待居(まって)ちゃア一日(イチンチ)埒明ねへから」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)

ひと‐え‥へ【一日】

  1. 〘 名詞 〙 「ひとひ(一日)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「ひとへの日は又日和よかれ」(出典:浮世草子・椀久一世(1685)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の一日の言及

【パリーニ】より

…文化の中心地ミラノにおけるこれらの経験を通じて,しだいにパリーニはアルカディア派の影響を脱し,当時ヨーロッパに広まっていた啓蒙主義に傾斜していくが,57年には,その最初の文学的表現として,散文詩《貴族に関する対話》を著した。この作品は,同じ墓地に埋葬された貴族と詩人の2人の死者が,貴族の特権をめぐって対話を重ねるうちに,人間の根源的な平等性を確認しあう結論に達するもので,その背景に流れる思想は,代表作《一日》に受け継がれていく。この代表作は,《早朝》(1763),《真昼時》(1765),《黄昏》《深夜》(ともに未完のまま1801刊)の全4部からなる長編詩で,家庭教師が教え子の若い貴族に一日の過ごし方を教え諭すという体裁をとりながら,貴族社会の虚無と腐敗と悪徳を明るみに出してみせた。…

※「一日」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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