精選版 日本国語大辞典「一日」の解説
いち‐にち【一日】
〘名〙
① 午前零時から午後一二時までの間。古くは、ある日の一時点から次の日のその時点までの間をさすこともあり、また、朝から翌朝までの間をさすこともある。いちじつ。
※今昔(1120頃か)六「馬より落て悶絶して死入ぬ、一日を経て活(よみがへり)て」
※延喜式(927)一一「凡国忌者、治部省預録下其日并省玄蕃応二行事一官人名上申レ官。前一日少納言奏聞」
※怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一〇「昨日は終日(イチニチ)畠耕(はたけうな)ひをして居たが」
④ ある日。また、いつぞや。先日。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑤ 月の最初の日。いちじつ。ついたち。
ひと‐ひ【一日】
〘名〙 (「ひとい」の時代も)
※万葉(8C後)一五・三六〇四「妹が袖別れて久になりぬれど比登比(ヒトヒ)も妹を忘れて思へや」
② 暦の月の初めの日。ついたち。朔日。
※曾丹集(11C初か)「空をそふ乙女の衣ひとひよりあまの川波立ちぞ寄るらし」
③ 過去のある一日。ある日。某日。先日。
※蜻蛉(974頃)上「ひと日の風はいかに」
いち‐じつ【一日】
※文明本節用集(室町中)「有三能一日(イチジツ)用二其力於仁一」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「見世をはなれず、一日(ジツ)筆を握(にぎ)り」
[補注]現代では「一日(イチジツ)の長」「一日(イチジツ)千秋」のような固定した表現に用いられる程度で、使用範囲は狭い。
いち‐んち【一日】
〘名〙 「いちにち(一日)」の変化した語。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「旦那に透を待居(まって)ちゃア一日(イチンチ)埒明ねへから」
ひと‐え ‥へ【一日】
〘名〙 「ひとひ(一日)」の変化した語。
※浮世草子・椀久一世(1685)下「ひとへの日は又日和よかれ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報