物質刺激(読み)ぶっしつしげき(その他表記)wù zhì cì jī

改訂新版 世界大百科事典 「物質刺激」の意味・わかりやすい解説

物質刺激 (ぶっしつしげき)
wù zhì cì jī

勤労者の労働意欲を分配上の譲歩により引き出す方法を,中国で,物質刺激と呼ぶ。これと対極となるのが精神的刺激である。低所得の中国では経済建設のために,愛国心や共産主義的自覚に訴えて,高蓄積を実現せざるをえなかった。具体的な面の両者相違は,物質的刺激派は出来高払いの割合増加を主張し,精神的刺激派は時間給や一律供給制の比重を高めることを主張する。右派実権を握ると物質的刺激をより重視し,左派権力を握ると精神的刺激を強調する傾向があった。1958年以後2年半の大躍進期,66年から10年間の文化大革命期は精神的刺激派が優勢であった。その他の時期は物質的刺激派が力をもったが,77年の華国鋒政権以後は物質的刺激を分配政策上全面的に取り入れた。奨励金制度がその典型例である。79年以降は個人に対する奨励金制度のみならず,企業,地方政府に対しても,自主権の拡大という名目で,この制度を拡充した。
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