猪名部(読み)いなべ

改訂新版 世界大百科事典 「猪名部」の意味・わかりやすい解説

猪名部 (いなべ)

為奈部とも書く。大和朝廷の職業部の一つで木工技術をもって仕えた。《日本書紀》によると,応神31年8月条の新羅王が船を造るために貢上した〈能匠者〉にはじまると伝え,同書雄略12年条に猪名部御田,翌13年条には猪名部真根が宮殿造営の木工として参加していることがみえる。《新撰姓氏録》左京神別の猪名部造(みやつこ),摂津未定雑姓の為奈部首(おびと)等は伴造(とものみやつこ)と考えられるが,いずれも物部氏の同族と称しており,《日本書紀》雄略18年条に猪名部が物部氏の〈所有〉とあることとあわせ,物部氏の管理下にあったものとみられる。なお新羅系のもののほか,《新撰姓氏録》摂津諸蕃に百済系と称するものもあった。この部民は奈良時代の文献によると,摂津など畿内のほか,伊賀,伊勢,越前などその周辺の国々に分布していた。
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