猿松(読み)サルマツ

デジタル大辞泉 「猿松」の意味・読み・例文・類語

さる‐まつ【猿松】

《松の字をつけて人名めかしていった語》
猿をののしっていう語。
まぬけな者や小生意気な者、わんぱくな子供などをののしっていう語。
童子わらべすかしの―の風車をするなど」〈浮・永代蔵・六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「猿松」の意味・読み・例文・類語

さる‐まつ【猿松】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「松」は、江戸時代、千代松、岩松など子どもに多かった人名になぞらえたもの ) 猿をののしっていう。えて公。
    1. [初出の実例]「猿松もながめて月ややつすらん〈春澄〉 きゃつめが里も秋の哀れさ〈自悦〉」(出典:俳諧・江戸十歌仙(1678)追加)
  3. ( 「猿」は悪がしこい意 ) さしで口をきいたり、いたずらをしたりする子ども、または、人をののしっていう。悪がしこい子ども。こしゃくな奴。
    1. [初出の実例]「『ヱヱ、さる枩め』トはり倒す」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)六)
  4. ( 「猿」は猿知恵の意 ) 考えの足りない人、まがぬけている人をののしっていう。
    1. [初出の実例]「三筋たらぬ猿松めら、早川に流し見て本末を知る事を、うぬ等風情に習はうか」(出典:浄瑠璃・摂津国長柄人柱(1727)三)
  5. 広く一般に、人をののしっていう。このやろう。ちきしょう。
    1. [初出の実例]「爪の長い猿松め、猫め、畜生め、エエ、おのれはおのれは憎やな」(出典:浄瑠璃・関取千両幟(1767)七)
  6. ( 形動 ) おろかであるさま。ばかばかしい態度。
    1. [初出の実例]「ヱヱ隙の入る猿に松がえ。猿松な使いじゃ」(出典:浄瑠璃・愛護稚名歌勝鬨(1753)初)

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