精選版 日本国語大辞典 「玉勝つ間」の意味・読み・例文・類語
たま‐かつま【玉勝間・玉籠】
- [ 1 ] ( 「たま」は美称 ) 目の細かいかご。
- [ 2 ] 枕
- [ 3 ] ( 玉勝間 ) 江戸中期の随筆。一五巻一五冊。本居宣長著。寛政五年(一七九三)起稿し、享和元年(一八〇一)に没するまで書きつづけた。刊行は寛政七~文化九年(一七九五‐一八一二)。古道観、文学、言語学、古代制度、有職故実などが雅文体で記されており、宣長の人生観、学問、文学観などを知るのに好適である。
玉勝つ間の補助注記
( 1 )[ 一 ]について「詞林采葉抄‐七」は、「玉かつまとは櫛の古語也」というが、他例を見ない。「仙覚抄‐一二」に「阿波国風土記云〈略〉櫛笥者勝間云也」とあるので、あるいは、「詞林采葉抄」の記述は、櫛の入れ物と誤ったか。隙間がなく、蓋と身とがぴったりと合わさった上等の籠であり、そのため「たま」の美称が付されたものである。
( 2 )枕詞としては、「万葉集」には見られるが、中古以降は用いられなくなる。