朝日日本歴史人物事典 「玉日」の解説
玉日
浄土真宗開祖親鸞の妻と伝承される女性。中世真宗の親鸞伝において禅定法皇(九条兼実の誤伝)の娘とされ,法然門下での親鸞の妻と伝承された。鎌倉末期に武蔵国荒木(埼玉県秩父市付近)の門徒が作製した『親鸞上人御因縁』に登場し,道場(寺院)坊主の伴侶「坊守」の始源とされる。荒木門徒は,坊主と坊守という道場経営を重視し,この立場は後世の真宗の一派・仏光寺派に継承されている。また,玉日とは,美しく有能な女という意味で,親鸞が京都六角堂参籠で救世観音から感得した夢告に由縁する命名と思われる。
(遠藤一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報