玉造小町壮衰書(読み)たまつくりこまちそうすいしょ

百科事典マイペディア 「玉造小町壮衰書」の意味・わかりやすい解説

玉造小町壮衰書【たまつくりこまちそうすいしょ】

平安後期の漢詩文作品。《玉造小町子壮衰書》とも。作者不詳。全1巻。前半は作者が路で会った老醜の貧女との問答を四六文で記した序で,彼女はもと良家の娘で,若い頃には栄華を極めたが,家族が入内(じゅだい)させようと結婚を許さなかったために,後に家族の相次ぐ死により没落し,仏道に帰依することを綴る。後半は130韻の長詩で,彼女が猟師に嫁して1子を産むが,夫と子に死別して無常を悟ったことを記し,老女境涯を憐れみ,仏の慈悲による救済を願うという内容。

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世界大百科事典(旧版)内の玉造小町壮衰書の言及

【小野小町】より

…実はそこは小町の終焉の地であったという説話が,《古事談》などに見えている。小町のどくろの話はそれより早く《江家次第(ごうけしだい)》に見えるが,同じ平安時代後期の作と考えられる《玉造小町壮衰書》は,美女の栄枯盛衰の生涯を小町に託した長編の漢詩で,後世の小町伝説に大きな影響を与えた。小町の名は,《古今著聞集》《平家物語》《徒然草》をはじめ数々の古典にあらわれる。…

※「玉造小町壮衰書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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