王墨(読み)おうぼく(英語表記)Wang Mo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王墨」の意味・わかりやすい解説

王墨
おうぼく
Wang Mo

中国,唐の水墨画家。活躍期は9世紀初め。『歴代名画記』の王黙,『宣和画譜』の王洽 (おうこう) は『唐朝名画録』に載る王墨と同一人物であろう。山水,松石図を得意としたが,その「溌墨」と呼ばれる描写法は奇狂で,墨を紙に注ぎ,墨の濃淡に従い手足頭髪などで描いたという。いわゆる中唐逸品画風創始者の一人。

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世界大百科事典(旧版)内の王墨の言及

【王黙】より

…8世紀後半から9世紀初頭が活躍期で,江南地方を中心に制作活動を行った。《歴代名画記》に王黙,《唐朝名画録》に王墨とあるが同一人で,《宣和画譜》がいう王洽(おうこう)のことと考えられる。酒に酔い,墨を潑(そそ)ぎ,手や頭髪を用いるなど,その狂躁的な作画は,中国の水墨画発展史上に一時代を画するものであったが,遺品は現存しない。…

【潑墨】より

…中国絵画において,墨を適宜そそぎ散らしてできる形からくる視覚的な連想に従って山や石などを描きだすこと。中唐,江南で活動した画家顧姓,王墨らによって始められた。用筆技巧を極端に重視した唐朝絵画の伝統に対する反逆であり,唐代までの人物画から宋代以降の山水画に中国絵画の中心的ジャンルが移ってゆく節目の役割を果たした。…

※「王墨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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