璣訓蒙鑑草(読み)からくりきんもうかがみぐさ

改訂新版 世界大百科事典 「璣訓蒙鑑草」の意味・わかりやすい解説

璣訓蒙鑑草 (からくりきんもうかがみぐさ)

江戸初期の〈からくり〉解説書。1730年(享保15)刊。多賀谷環中仙撰。川枝豊信画。〈拾珍(しゆうちん)/御伽(おとぎ)〉と角書(つのがき)がある。2巻3冊。上巻で当時の代表的な〈からくり〉28種の図を掲げ,下巻でそれぞれにつき図解・種明しをした書。〈からくり〉の装置は滑車てこを利用した糸からくりが9種を占め,ポンプ,ばね,歯車,水銀を用いたものが各1種,その他は奇術手品に類するもので,技術的には単純にして幼稚なものである。しかし,元禄期前後に,竹田近江伊藤出羽掾,山本飛驒掾らの人形芝居(人形劇)と結びついて大流行を見せた〈からくり〉の時代を背景としているだけに,文化史を見るうえでも貴重な文献である。類書に1796年(寛政8)刊《機巧図彙(からくりずい)》がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の璣訓蒙鑑草の言及

【奇術】より

…1591年(天正19)滝川伝之丞が京都四条河原で奇術の興行を行った記録があるが,江戸時代になると,盛んに興行が行われるようになり,都右近,塩屋長次郎などの奇術師が現れた。日本最初の奇術解説書は元禄年間(1688‐1704)に中国の文人,陳眉公が著した《神仙戯術(しんせんげじゆつ)》の翻刻であり,その後に《珍術さんげ袋》《珍曲たはふれぐさ》《神仙秘事睫(ひじまつげ)》,竹田からくりの種あかしをした《璣訓蒙鑑草(からくりきんもうかがみぐさ)》,さらに《放下筌(ほうかせん)》(1764),《天狗通(てんぐつう)》(1779)などの優秀な手品の伝授本がつぎつぎと刊行された。それらの伝授本には,底のない箱からさまざまな品物を取りだす,紙でつくったチョウを飛ばす,ろうそくから水が吹きだす,白紙を吹いて卵にするなどの奇術が解説されている。…

※「璣訓蒙鑑草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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