伊藤出羽掾(読み)いとうでわのじょう

改訂新版 世界大百科事典 「伊藤出羽掾」の意味・わかりやすい解説

伊藤出羽掾 (いとうでわのじょう)

近世前期の浄瑠璃太夫生没年不詳。道頓堀本拠に活躍し,1658年には出羽掾を受領,とくに寛文・延宝期(1661-81)をその最盛期として当時大坂の第一人者井上播磨掾と競い合った。初めは勇壮な金平(きんぴら)物(金平浄瑠璃),後には哀調を帯びた説経系の語り物(説経浄瑠璃)を得意とし,また,演出面では〈からくり〉などの技巧の活用に特色が発揮されている。その芸風一門岡本文弥や山本土佐掾らに受け継がれた。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伊藤出羽掾」の解説

伊藤出羽掾 いとう-でわのじょう

?-? 江戸時代前期の浄瑠璃(じょうるり)太夫
大坂最初の太夫といわれ,道頓堀を拠点に操り芝居興行,万治(まんじ)元年受領(ずりょう)して出羽掾藤原信勝(のぶかつ)を名のる。からくりを活用し,寛文-延宝年間(1661-81)を最盛期として井上播磨掾(はりまのじょう)と芸をきそった。門下に岡本文弥,山本角太夫(すみだゆう)ら。

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世界大百科事典(旧版)内の伊藤出羽掾の言及

【浄瑠璃】より

…その中で注目されるものに金平(きんぴら)節(金平浄瑠璃),外記節土佐節がある。金平節は大坂の伊藤出羽掾,井上播磨掾にも影響した。土佐節は複雑な曲調で〈江戸〉として義太夫節にも採られ,近松にも影響したらしい。…

※「伊藤出羽掾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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