環境改変技術敵対的使用禁止条約(読み)かんきょうかいへんぎじゅつてきたいてきしようきんしじょうやく(英語表記)Convention on the Prohibition of Military or any other Hostile Use of Environmental Modification Techniques; ENMOD Convention

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

環境改変技術敵対的使用禁止条約
かんきょうかいへんぎじゅつてきたいてきしようきんしじょうやく
Convention on the Prohibition of Military or any other Hostile Use of Environmental Modification Techniques; ENMOD Convention

正式名称「環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約」。通称 ENMOD条約。1977年5月18日作成,1978年10月5日発効,日本については 1982年6月9日発効。自然環境を人工的に改変する技術を軍事目的で使用する危険性は,はかりしれない。これを禁止する具体的な動きは,1974年7月の米ソ共同声明に端を発する。1975年8月にはアメリカ合衆国ソビエト連邦が合意した条約案が国連軍縮委員会に提出され,その後の審議改定を経て作成された。条約は前文本文 10ヵ条,付属書からなり,破壊などの手段として広範,長期的,深刻な影響をもたらす環境改変技術,たとえば人工的な地震(→人工地震),津波,生態系の破壊などを軍事目的で行なうことを禁止している。しかしこうした技術はまだ確立されておらず,いわば予防的な取り決めである。1990年の湾岸戦争の経験から,原油流出や油田炎上などをはかる行為を条約で明確に禁止すべきであるとの提案がなされている。2014年6月時点での締約国はアメリカ合衆国,イギリス,ロシアを含む 76ヵ国。(→気象制御

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