日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
環境汚染物質排出移動登録制度
かんきょうおせんぶっしつはいしゅついどうとうろくせいど
Pollutant Release and Transfer Resister
有害性のある化学物質が、どのような発生源から環境中に排出あるいは事業所外に移動されたかを把握する制度のこと。略称PRTR。日本では1999年(平成11)7月に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(特定化学物質管理促進法)」が制定され、PRTRが導入された。PRTR制度の対象は人や生態系への有害性があり環境中に暴露可能性があると認められる化学物質(第一種指定化学物質)で、ベンゼン、トルエン、キシレン等の揮発性炭化水素、鉛化合物、有機スズ化合物等の金属化合物、オゾン層破壊物質であるフロン類(CFC=クロロフルオロカーボン類、HCFC=ハイドロクロロフルオロカーボン類)、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物、石綿など、462物質が指定されている。これらの化学物質を取り扱う事業者は、個別事業所ごとに化学物質の環境への排出量や移動量を国に届け出なければならない。国はこれらの情報を業種別、地域別等に集計・公表し、環境や人の健康への影響に関する調査を実施することなどが定められている。
[山本耕平]