百科事典マイペディア 「有機塩素化合物」の意味・わかりやすい解説 有機塩素化合物【ゆうきえんそかごうぶつ】 炭素を含む化合物(有機化合物という)と塩素が結合したもの。多くの種類があるが,抗生物質クロラムフェニコールなどを除き,ほとんどは人工的に作り出したもの。塩素の作用によって生物の体内に蓄積されやすいものが多く,この性質を利用してDDT,BHC,ディルドリン,エルドリン,エンドリン,クロルデンなどの殺虫剤がつくられた。しかし人体にも蓄積され,健康被害を引き起こすことがわかり,日本では化学物質等審査規制法により大部分が使用禁止になった。一方,有機塩素化合物は溶剤や抽出剤などとしても開発された。半導体(IC)や金属などの洗浄剤,油脂・染料の抽出剤がそれであり,ほかにも,(1)フロンガスの原料,熱媒体,殺菌剤,医薬品の原料などに使われているトリクロロエチレン,(2)ドライクリーニングの洗浄剤やフロンガス,フッ素樹脂の原料として用いられているテトラクロロエチレン,(3)溶剤やフロンガスの原料に使用された四塩化炭素,(4)トリクロロエチレンの代替品として洗浄剤に使われた1,1,1トリクロロエタン(メチルクロロホルム)がある。しかし(1)〜(3)は発癌性があり,いろいろな健康障害の原因になることがわかり,(1)(2)は製造・輸入の数量規制を受けている。また(3)(4)はオゾン層破壊物質であることがわかり,1995年12月に全廃された。さらに,オゾン層を破壊するフロンも,化学兵器〈枯葉剤〉に含まれる猛毒物質2,3,7,8四塩化ジベンゾ・ダイオキシンも,現在世界中の水道水に含まれ問題になっているトリハロメタンも有機塩素化合物である。 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有機塩素化合物」の意味・わかりやすい解説 有機塩素化合物ゆうきえんそかごうぶつchlorinated organic compounds 炭素に結合した塩素を含む有機化合物。自然界にはほとんど存在せず,その多くが人工的に合成される。不燃性,脂溶性,殺菌・殺虫作用などの性質を利用して,農薬や溶媒など多くの用途で使われる。しかし農薬・殺虫剤に使われた DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)やクロルデン,塗料などに使われた PCB(ポリクロロビフェニル)など,多くは生物濃縮されやすく毒性が高いため,広域汚染や地下水汚染,環境破壊を引き起こすとして,化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律によって製造や使用が規制されている。また,ダイオキシンやオゾン層を破壊するフロン,トリクロロエチレンなども有機塩素化合物であり,使用や排出が規制されている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by