有機塩素化合物(読み)ゆうきえんそかごうぶつ(英語表記)chlorinated organic compounds

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

有機塩素化合物
ゆうきえんそかごうぶつ
chlorinated organic compounds

炭素に結合した塩素を含む有機化合物。燃えにくい,油をよく溶かす,生物の増殖を抑制するなどの性質を利用して,非常に多くの用途がある。しかし,一般に環境中で分解されにくく,生物に対して毒性をもつことから,その環境汚染が懸念されている。化学物質審査法で製造・使用が禁止されたり,制限されている化学物質の多くは有機塩素化合物である。含まれる元素の種類や炭素の数の違いによって,有機塩素化合物の種類は多いが,特に環境汚染の面から大きく2つの種類に分けられる。1つは DDT (ジクロロジフェニルトリクロロメタン) ,クロルデンなど,有機塩素系農薬や PCB (ポリクロルビフェニル) に代表される生物に濃縮されやすい有機塩素化合物であり,製造・使用が禁止されてからも長い間,環境を汚染し,生物に影響を与え続ける。毒性が高く,非意図的に形成されるダイオキシンもこの種の有機塩素化合物の一つである。2つめは,トリクロロエチレンなどの揮発性の有機塩素化合物であり,生物に濃縮されにくい性質をもっている。これらの物質は,揮発しやすいため,大気を汚染する一方で,土壌に吸着されにくいため,地下水を汚染しやすく,複数の環境を汚染する代表的な有害化学物質である。

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百科事典マイペディアの解説

有機塩素化合物【ゆうきえんそかごうぶつ】

炭素を含む化合物(有機化合物という)と塩素が結合したもの。多くの種類があるが,抗生物質クロラムフェニコールなどを除き,ほとんどは人工的に作り出したもの。塩素の作用によって生物の体内に蓄積されやすいものが多く,この性質を利用してDDTBHC,ディルドリン,エルドリン,エンドリン,クロルデンなどの殺虫剤がつくられた。しかし人体にも蓄積され,健康被害を引き起こすことがわかり,日本では化学物質等審査規制法により大部分が使用禁止になった。一方,有機塩素化合物は溶剤抽出剤などとしても開発された。半導体(IC)や金属などの洗浄剤,油脂・染料の抽出剤がそれであり,ほかにも,(1)フロンガスの原料,熱媒体,殺菌剤,医薬品の原料などに使われているトリクロロエチレン,(2)ドライクリーニングの洗浄剤やフロンガス,フッ素樹脂の原料として用いられているテトラクロロエチレン,(3)溶剤やフロンガスの原料に使用された四塩化炭素,(4)トリクロロエチレンの代替品として洗浄剤に使われた1,1,1トリクロロエタン(メチルクロロホルム)がある。しかし(1)〜(3)は発癌性があり,いろいろな健康障害の原因になることがわかり,(1)(2)は製造・輸入の数量規制を受けている。また(3)(4)はオゾン層破壊物質であることがわかり,1995年12月に全廃された。さらに,オゾン層を破壊するフロンも,化学兵器〈枯葉剤〉に含まれる猛毒物質2,3,7,8四塩化ジベンゾ・ダイオキシンも,現在世界中の水道水に含まれ問題になっているトリハロメタンも有機塩素化合物である。

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大辞林 第三版の解説

ゆうきえんそかごうぶつ【有機塩素化合物】

塩素を含む炭素化合物。 DDT ・ PCB ・ダイオキシン・塩化ビニルなど、多くは人体や環境に有害。

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