石綿(読み)いしわた

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

石綿
いしわた

石綿」のページをご覧ください。

石綿
せきめん
asbestos

繊維状を呈するマグネシウムに富む含水ケイ酸塩鉱物で,各種工業用材に用いられるものの総称。ミルボード,石綿スレートなどの建材原料,防火材,耐火材保温材断熱材電気絶縁材,電解膜用材,ブレーキライニング用材など用途は広い。鉱物組成上で2種に区分される。一つはクリソタイルを主とする石綿で,温石綿 (蛇紋岩質石綿) と呼ばれ,産出量が多く工業的に最も広く利用されている。良質のものは糸や織物になる。他の一つは角閃石質石綿で,繊維は弱いが,化学薬品に強い。両者とも蛇紋岩中に脈状になって産出する。世界の産額の過半をカナダが占めているが,旧ソ連地域,ジンバブエ,アメリカのアリゾナ州,スイスなどにも大規模な鉱床がある。日本では北海道の日高山地に産するだけで,ほとんどを輸入に頼っている。近年,発癌性が問題とされるようになり,その使用が規制されている。

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知恵蔵の解説

石綿

アスベスト」のページをご覧ください。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

石綿

耐熱性と耐摩擦性に優れた天然の繊維状鉱物として、戦後に加工品の糸や布は工場の断熱材などとして使われた。一方で粉じんを吸い込むと中皮腫や肺がんなどを発症。数十年という潜伏期間の長さから「静かな時限爆弾」と呼ばれる。国は2006年に医療費や療養手当の支給を盛り込んだ石綿健康被害救済吠石綿新頬を制定したが、大阪・泉南のほか、クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民の遺族首都圏の元建設現場労働者らが各地で訴訟を起こしている。

(2012-03-29 朝日新聞 朝刊 2社会)

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リフォーム用語集の解説

石綿

繊維状鉱石で耐火性・断熱性に優れ、断熱材や保温材などに用いられてきたが、現在は発ガン性や大気汚染などの問題で使用が規制され、ノンアスベスト製品が主流となっている。吹付石綿を使用した既存建物の解体に伴う石綿の飛散防止対策などが問題になっている。

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大辞林 第三版の解説

いしわた【石綿】

繊維状鉱物の総称。蛇紋石じやもんせきまたは角閃石かくせんせきが繊維状になっているもの。熱・電気の不良導体で、防火・保温、電気の絶縁物などに用いられた。吸い込むと肺癌がんや中皮腫ちゆうひしゆなどの原因となるため、原則として製造・使用は禁止されている。アスベスト。せきめん。石絨せきじゆう。温石綿おんじやくめん

せきめん【石綿】

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

石綿 (イシノワタ)

植物。ホコリタケ科のキノコ。ホコリタケの別称

石綿 (イシワタ)

植物。ホコリタケ科の腹菌類,薬用植物。オニフスベの別称

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精選版 日本国語大辞典の解説

いし‐の‐わた【石綿】

〘名〙 「ほこりたけ(埃茸)」の異名。
※俳諧・桃青三百韻附両吟二百韻(1678)延宝五之冬「松が根まくら石の綿とる〈信徳〉」

いし‐わた【石綿】

〘名〙 蛇紋石、角閃石の繊維が変化して綿のようになったもの。耐火材、保温材として使用されてきたが、発癌性があるとして現在は用いられない。せきめん。アスベスト。〔物類品隲(1763)〕

せき‐めん【石綿】

〘名〙 =いしわた(石綿)〔鉱物字彙(1890)〕

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化学辞典 第2版の解説

石綿
イシワタ
asbestos

アスベストともいう.柔軟で強靭な繊維質の鉱物.狭義には,蛇紋石系の温石綿であるが,工業的には,各種の繊維状ケイ酸塩鉱物を総称して石綿とよび,その大部分は角せん石質で,次の4種類に分類できる.温石綿H2Mg3Si2O3,青石綿NaFe(SiO3)2・FeSiO3,角せん石綿Ca(MgFe)3(SiO3)4,直せん石綿(Fe,Mg)SiO3.このうち,青石綿で鉄分の少ないものをアモサイトという.また,水熱反応あるいは溶融法で合成される合成石綿もある.カナダのケベック地方に産出する温石綿はもっとも有名で,性質もすぐれている.石綿は,1本の直径が0.01~1 μm であり,それがより合わさって0.5~1 mm の細い繊維となる.耐熱性,耐酸・耐アルカリ性,抗張性,熱および電気絶縁性などの性質を備えているために広い用途があり,1980年代までは日本には毎年30万t 程度輸入され,良質なものは糸あるいはテープ,布などの紡織品となり,防火材,耐火保温材,電解用融膜,高温用パッキングなどに使用された.低級なものはセメントと混合して各種の石綿セメント製品となった.また,合成樹脂またはゴムに混入して,ブレーキライニングあるいはクラッチフェーシングとして利用されていた.石綿は,1988年になって国内で健康障害の問題があることが顕在化した.石綿の吸入と肺がん・中皮腫の発生率との関係が指摘され,2005年に石綿障害予防規則が施行され,原則的に製造中止になっている.

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世界大百科事典内の石綿の言及

【アスベスト】より

…不燃材として古くから利用されている天然の無機繊維状鉱物の総称で,石綿(いしわた∥せきめん)とも呼ぶ。蛇紋石族または角セン石族の鉱物のうち,繊維状にほぐすことのできるものをいい,蛇紋石族の一種であるクリソタイルchrysotileは温石綿(おんじやくめん)とも呼ばれる。…

【石綿症】より

塵肺(じんぱい)の一種。石綿肺ともいう。石綿(アスベスト)は繊維状のケイ酸塩鉱物の総称で,ひろく工業原料として利用されているが,近年,造船,建設,自動車ブレーキライニングなど石綿使用分野が急速に増加し,職業的にあるいは非職業的に,石綿曝露(ばくろ)の機会が増加してきている。…

【アスベスト】より

…不燃材として古くから利用されている天然の無機繊維状鉱物の総称で,石綿(いしわた∥せきめん)とも呼ぶ。蛇紋石族または角セン石族の鉱物のうち,繊維状にほぐすことのできるものをいい,蛇紋石族の一種であるクリソタイルchrysotileは温石綿(おんじやくめん)とも呼ばれる。…

※「石綿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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