アメリカの演劇理論家で演出家の R.シェクナー Richard Schechner (1934~ ) が 1960年代後半に提唱した実験的演劇形態。伝統的な劇場を否定し,日常的空間や倉庫などを改造した環境を利用して舞台と観客の新しい関係の創造を目指した。画家 A.カプローの,芸術と日常の境界を取払ったハプニングの概念に強く影響され,観客は場面を見る存在であると同時に場面をつくる存在であるとし,その結果テキストは必ずしも絶対的に必要なものではないとみなした。シェクナーはまたパフォーマンス・グループという劇団を組織し,『1969年のディオニュソス』『コミューン』などの上演を通して理論を実践し,俳優と観客の祝祭的交歓の場をつくりだそうとした。そのほか,街頭を舞台に神話を素材としてパフォーマンスを繰広げるパンと人形劇団 The Bread and Puppet Theatreがある。