デジタル大辞泉 「環境DNA」の意味・読み・例文・類語 かんきょう‐ディーエヌエー〔クワンキヤウ‐〕【環境DNA】 生物により水・大気・土壌などに放出されたDNA。老廃物や死骸などに由来する。その分析から環境中の生物種や数を把握できるほか、感染症流行のモニタリングにも用いられる。eDNA(environmental DNA)。[補説]分析技術の向上により、ヒトのDNAから個人の特定や遺伝情報の収集、行動の追跡などが可能になりつつある。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
知恵蔵mini 「環境DNA」の解説 環境DNA 土、水、空気など、生物が存在する環境から採取することのできる生物由来のDNAのこと。同DNAを分析する調査手法が生態系を効率的に観測するための新しい手法として注目を集めている。DNAは生物の本体だけでなく、そこから放出された断片にも含まれている。例えば動物の場合、排泄物や魚の鱗、鳥の羽、哺乳類の毛や皮膚などがそれに該当する。DNAにおける塩基の並び順(塩基配列)は生物によって異なるため、ある場所の土や水などに含まれる「環境DNA」の塩基配列を解読することで、その場所にどの生物がいたのか、また同DNAの濃度から生息数などを推定することができる。一方、検出された同DNAが遠い場所にすむ生物から放出され流されてきた可能性もあり、その生物が本当にその場所に生息していたと言い切ることが難しいという短所がある。同DNAの調査手法を用いて、国内では北海道にだけ生息する「幻の魚」と呼ばれる淡水魚イトウの生息域について北海道大学が調査したところ、これまで確認されなかった道内の二つの川に生息している可能性があることがわかり、注目を集めた。 (2020-11-10) 出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報