向上（読み）コウジョウ

デジタル大辞泉

こう‐じょう〔カウジヤウ〕【向上】

［名］(スル)
１ よりよい方向、すぐれた状態に向かうこと。進歩。「学力が向上する」「生活レベルの向上」⇔低下。
２ 最上。最高。
「武田の弓矢―なり」〈甲陽軍鑑・三六〉
３ 仏語。絶対平等の境地。また、それに向かって進むこと。
[類語]好転・上り調子・進歩・進む・伸びる

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

こう‐じょうカウジャウ【向上】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 上に向かって進むこと。良い方へ向かうこと。進歩すること。また、そのために努力すること。
   1. [初出の実例]「五典のほかに、別に向上(カウジャウ)の道あるべしとぞんじ候はいかが」(出典：翁問答（1650）上)
3. ② 上を向くこと。見あげること。
   1. [初出の実例]「向上と見あぐれば、万仭の青壁刀を以て削れり」(出典：松井本太平記（１４Ｃ後）三)
4. ③ より以上であること。より上。きょうじょう。
5. ④ ( 形動 ) 位や程度が最も高いこと。また、そのさま。最高。最上。
   1. [初出の実例]「道をまもるべき人なれ共、いまだ、向上の大祖とは見えず」(出典：却来華（1433）)
6. ⑤ 仏語。
   1. (イ) 下から上へ、あるいは末から本へ向かうこと。また、越えて上に出ること。
      1. [初出の実例]「其文すこしにても向上(カウジャウ)なれば、世の人棄て是を読ず」(出典：談義本・成仙玉一口玄談（1785）五)
   2. (ロ) 迷いの境から悟りの境に入ること。そこで得られた悟りの智見。
      1. [初出の実例]「又向上の事にてしり、向上の事にてきくとき」(出典：正法眼蔵（1231‐53）仏向上事)
   3. (ハ) 密教で説く十二口伝の一つ。ある句の上に他の句をつけて読むこと。下につけて読むことを向下という。
7. ⑥ 現在の状態を不完全または、不満足として理想追求に努力すること。
   1. [初出の実例]「堕落せざらんが為には怒らざるべからず、向上(カウジャウ)せんが為には怒らなければいけない」(出典：搦手から（1915）〈長谷川如是閑〉足のうら)

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【向上】こうじよう

上達する。

字通「向」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」