改訂新版 世界大百科事典 「生旦浄丑」の意味・わかりやすい解説
生旦浄丑 (せいたんじょうちゅう)
shēng dàn jìng chǒu
中国の伝統的演劇では,人物の性別・身分・性格などによって類型的に分けられた役柄を〈脚色〉というが,その代表的なもの。生は男役,旦は女役,浄は敵役で時に道化味を帯びるもの,または特異な性格をもつ豪傑的人物,丑は道化役,または小悪人的人物を指す。おのおのの役柄は年齢などによってさらに細分されており,例えば,京劇では,生はふけ役の老生,若者に扮する小生,立回りを主とする武生に分かれ,そのおのおのがまたいくつかに分かれている。旦浄丑についてもほぼ同様である。なお浄は顔にくまどりを施し,丑は鼻先に白粉をぬるため,それぞれ〈花臉〉〈小花臉〉ともよばれる。役柄によってせりふやしぐさに独特の型があり,一般に俳優は一つの役柄を専門に演じる。宋・元代の〈南戯〉や〈雑劇〉に,名称の相異は若干あるが,すでにこのような分業がみられ,現在の京劇を始めとする多くの地方劇においても基本的にこの類型が継承されている。
執筆者:金 文 京
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報