田舎女房
いなかにょうぼう
The Country Wife
イギリスの劇作家W・ウィッチャリーの喜劇。1675年初演。イギリス王政復古期喜劇の代表作。主人公ホーナーは、性的不能者を装って世間の夫たちを油断させ、次々に好色な人妻と関係するばかりか、女の浮気を心配して、わざわざうぶな田舎娘と結婚した男までもたぶらかしてしまう。題名は田舎出身のこの女をさす。性的存在としての人間の姿を赤裸に描いた作品で、露骨な場面や台詞(せりふ)が多く、非難されることもある。うぶな女を奪われる男という設定などに、モリエールの影響がうかがわれる。
[喜志哲雄]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の田舎女房の言及
【ウィッチャリー】より
…処女作《森の中の恋》(1671初演),次いで《紳士の舞踏教師》(1672初演)を発表。もっとも有名な第3作《田舎女房》(1675初演)は,性的不能者を装って世間の夫たちを油断させ,人妻を誘惑する男を主人公として,当時の社交界の乱れた男女関係を赤裸に描写したもので,卑猥との非難もうけた。最後の作品はモリエールの《人間嫌い》をもとにした《率直な男》(1676初演)で,社交界の偽善を激しく風刺した。…
※「田舎女房」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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