日本歴史地名大系 「由良文書」の解説
由良文書
ゆらもんじよ
解説 新田岩松氏の家臣で、のちに下剋上によって主家の権力を奪った横瀬氏(戦国時代の成繁・国繁の代に由良氏を称する)の相伝文書。東京大学文学部蔵と安川繁成旧蔵の計六二点からなり、後者の原本の所在は不詳。横瀬氏は伊丹・金井・沼尻氏と並んで新田岩松家の四天王とよばれる重臣であり、岩松氏の代替り直後の明応四年には「屋裏之錯乱」とよばれる内紛によって主家の実権を奪取し、永禄期以後由良氏を称した。上杉・小田原北条氏の両勢力の狭間にあってよく自立を保ち、東上州の有力国人として新田領・桐生領を支配した。永禄一二年の越相同盟の締結に当たっては、北条方の窓口として上杉方沼田城番手衆との間で交渉を繰返しており、関連文書も多い。天正一二年北条氏の新田・館林攻めによって金山城は落ち、勢力を失った。
活字本 「群馬県史」資料編六・七
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報