甲賀山(読み)こうかやま

日本歴史地名大系 「甲賀山」の解説

甲賀山
こうかやま

鹿深山・甲可山にもつくる。広義には「輿地志略」が「甲賀一郡の山は凡て甲賀山」とするように、特定の山地の名称ではなく甲賀郡内の山をさしたが、古代において壬申の乱当時、奈良東大寺造営時、石山いしやま(現大津市)造営時のいずれも別の地点をさしたことが知られる。「日本書紀」天武天皇元年(六七二)七月五日条によれば、壬申の乱において近江朝廷軍の別将田辺小隅が「鹿深山」を越え、倉歴くらぶに至り、夜半田中臣足麻呂の軍を大敗させたとある。これらの記述から、甲賀郡油日あぶらひ(現甲賀町)と伊賀国柘植つげ(現三重県阿山郡伊賀町)を結ぶ倉歴道沿いの山地を「鹿深山」とよんでいたと考えられる。

また天平宝字五年(七六一)一二月から同六年八月までになされた石山寺造営にかかわる正倉院文書(以下同文書は省略)に、「甲賀山」「甲賀山作所」がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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