日本大百科全書(ニッポニカ) 「白羊羹」の意味・わかりやすい解説
白羊羹
しろようかん
備中(びっちゅう)(岡山県)白アズキを用いた羊かんで、鳥取県米子(よなご)名物。この羊かんを創作した久米屋(くめや)の先代治之助(じのすけ)は、1932年(昭和7)の不況で、売りに行くより捨てたほうがましと、大八車いっぱいの野菜を日野川に投棄しようとする農民から、その野菜全部を買い取った。そのなかにたまたま一籠(かご)の白アズキがあり、名物の白羊羹作りのきっかけとなった。白アズキは赤アズキの変種で生産がむずかしく、備中、伯耆(ほうき)(鳥取県)、木曽(きそ)(長野県)などの一部で栽培される高級品である。久米屋ではこれをこしの強い寒天とあわせ、羊かんに仕上げたが、白アズキ本来の色なので、白羊羹とはいっても黄灰色を呈しているのが特徴である。
[沢 史生]